紫外線による日焼けで、肌にシミができてしまうと大変!ということで、UVケア、帽子、サングラス、車を運転するときはアームカバーと、何かと日焼け対策は大変です。
しかし、「紫外線を浴びないとビタミンD不足になり骨粗しょう症になる!」なんて脅されると、心配になりますよね。
そこで、紫外線とビタミンDの関係や「完璧な日焼け対策はダメなのか」について調べてみました。
紫外線とビタミンDの関係について
ビタミンDは、皮膚に当たる紫外線の働きによってつくられます。
そして、腸からのカルシウムの吸収を2~5倍程度増加させます。
しかし、血中にカルシウムが不足すると、けいれんなどの症状が起きるため、骨からカルシウムを溶かして供給するようになります。
骨からカルシウムが溶けでると、骨の強度が低下し、成長期の子どもなら「くる病」、成人なら「骨軟化症」といった症状を起こすようになります。
ですので、古くから紫外線とビタミンDと骨が関連づけられていました。
そこで「紫外線を浴びないとダメ」ということにつながっているのです。
しかし、一方で、紫外線は肌の美容にだけでなく、様々な病気にも影響を与えます。
ビタミンDの効能
ビタミンDは、カルシウムの吸収を高める他、ガン発症のリスクを下げる、アルツハイマーの予防などの他に、最近ではインフルエンザを予防する働きがあると言われています。
シミのない美肌をとるか、ビタミンDをつくるという紫外線のメリットとるか、迷うところですね。
ビタミンD生成に必要な日光照射時間
ビタミンDがつくられるには、どれくらいの時間紫外線に当たればいいのでしょうか。
地域や季節などを考慮に入れなければなりませんが、環境省は、平均的な食事の摂取をしたうえで、両手の甲に1日1回、日なたなら約15分、日陰なら約30分紫外線を浴びればよいとしています。
環境省はもう少し具体的に発表していますので、それを引用しておきます。
地域(住所)や季節、時刻、天候、服装、皮膚色(スキンタイプ)など多くの要因で左右されるため、一律に「○○分」と表現することはできません。「○○分」はあくまでも目安で、地域や季節、時刻などで判断することが必要です。これらを踏まえた上で、400単位(10μg)のビタミンDを産生するのに必要な時間を計算してみると、標準的な日本人(スキンタイプⅢ)が、皮膚の25%(概ね、両腕と顔に相当)を日焼け止めをせずに露出して、東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間。同様に1月1日の昼ごろに12%(顔と手程度に相当)を露出して外出すると約50分などと計算されます。
環境省『紫外線環境保健マニュアル 2015』
もう一つ、国立環境研究所と東京家政大学の研究チームによる研究結果を引用しておきます。
両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしないと必要量のビタミンDを生成しないことが判りました。紫外線を浴びすぎるとシミやしわ、皮膚がんの原因となることから、最近極度に紫外線を忌諱する風潮も一部で見受けられますが、冬季の北日本などでは食物からのビタミンD摂取に加え、積極的な日光浴が推奨されることが今回の研究で明らかとなりました。
「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-」
これで、適度な日光浴は必要であることがわかりました。
しかし、人目の気にならない部分の皮膚を日光に当てればいいので、十分な日焼け止めの対策をしても心配はありません。
また、食事やサプリメントでビタミンDを補給するという方法もあります。
ビタミンD不足だけでは骨粗しょう症にならない
最後に、「紫外線を浴びないとビタミンD不足になり骨粗しょう症になる!」といった内容が書かれているサイトがありましたので、次の文を引用しておきます。
骨粗鬆症は女性には深刻な問題であることも事実ですが、カルシウムやビタミンDだけを摂っても防ぐことはできません。骨粗鬆症に関していえばエストロゲンの減少が非常に大きな原因であり、また運動不足も関係しています(運動しないと骨にカルシウムがつきません)。
吉木伸子『スキンケア美容医学事典』(池田書店)
参考:スーパーで買えるビタミンDが豊富な食材
紅サケ
イワシ
サンマ
ウナギのかば焼き
きくらげ